「私の場合、そのような(薄気味悪い)部屋に入ったとたん、鉄錆を舐めさせられたような感覚が唾液腺から出てくる。その瞬間、《あっ、ヤバい》と感じます。」
幼い頃から、説明のつかない体験をたびたびしてきたという女優の室井滋さん。時には恐怖を感じることも。その体験から見出したことは(構成=篠藤ゆり)

唾液腺から鉄錆のような味が……

役者というのは、誰かの生涯を演じるので、ちょっとイタコ的な要素があるように思います。

この仕事をしていると旅も多いため、夜しっかり眠らないと翌日の仕事に影響します。でも宿では部屋が割り当てられているので、自分では選べない。薄気味悪い部屋にあたることもあります。私の場合、そのような部屋に入ったとたん、鉄錆を舐めさせられたような感覚が唾液腺から出てくる。その瞬間、「あっ、ヤバい」と感じます。

でも、ワガママな女優だと思われそうで、「部屋を替えてほしい」とは言いにくい。我慢して寝ていると、電灯がチカチカ点いたり消えたりするとか、たいてい何かおかしなことが起きます。

愛知県のある宿に10日ほど滞在した時もそういう部屋だったので、怖いからテレビを点けて寝ることに。錦織選手のテニスの試合をやっていたので、ボールの音を聞きながら眠りにつきました。

しばらくすると、男と女の喘ぎ声が聞こえてきて――目を開けたら、テレビの画面で違う《試合》が始まっていた(笑)。勝手にアダルト映像に切り替わっていたんです。まぁ、これは「怖い」というより「イヤだ!」。目に見えない存在がいたとして、なんのためにアダルト映像を点けたのか?(笑)