鶴屋の笑顔が変化
<灰捨て競争の最後、川に落ちた蔦重が町人に助けられる。泳げない蔦重が、「誰か助けてくれると思ったんですけど」と冗談を言うと、鶴屋は笑みをこぼした>
これまでと違って、吹き出すような笑いになりました。演出の方から「ちょっと強すぎるかも」と言われたので、抑えようと思いましたが、蔦重との関係が一気に雪解けになったと感じていたので、吹き出すような笑いになったんです。演出の方もOKを出してくれました。
鶴屋は地本問屋業界を束ね、守っていく立場。これまでの鶴屋のちょっと怖い笑顔は、自分を大きく見せたる武器みたいなものでした。社会的にある程度の地位についた人は、弱みをあまり見せちゃいけないと強いられる部分がある。商談を優位に進めていくための武器として自然と笑顔が備わったと解釈しています。
僕、黒目が大きいらしいんです。子どもが人の絵を描いた時に白目を描かずに黒目だけにすると、ちょっと怖い感じになるじゃないですか。多分、僕の顔、ちょっと怖いんです。黒目を意識して感情を宿さない目をしながら口角を上げると、新しい怖さが生まれました。僕自身も鶴屋の目が笑っていないと思っていました(笑)。
<史実では、鶴屋と蔦重は一緒に旅行するほどの仲。ドラマ前半の仲の悪さから、SNSでは歴史に詳しい視聴者から「仲良くなるのはありえない」「無理だろう」などの意見が目立った。和解を機に、蔦重との関係は変化していく>
調べた限りでは、蔦重と鶴屋は共同で本を出すこともあったらしいので、ライバルではなく仲間だと認識しています。今では、鶴屋は蔦重のことが好きなんだなぁと思いながら台本を読んでいます。ツンデレというか。蔦重がやりたいことを伝えてきたときに、「気持ちだけでできるような話なんですかね(笑)。そのためにはこれとこれとこれがありますけれども、その覚悟はありますか?」みたいに結果的に必要なものを教えてあげるイメージです。