「昔はよかった」と言って「いまに怒る」

「最近のテレビ番組のくだらなさときたら、ひどいものだ」「バラエティでお笑い芸人が大騒ぎしているだけならまだしも、中には社会問題について一丁前に語る芸人もいる」「ドラマも下手な脚本、下手な役者のものばかり。昔の役者は違った」……など、このタイプの年配者は常日頃からこのようなことにまで鬱憤を感じているのだろう。

そして心の内で思うだけならともかく、それを口に出してしまう。テレビを観るたびに、ぶつぶつと文句を言う。

『70すぎたら「サメテガル」: 「老害」にならない魔法の言葉』(著:樋口裕一/小学館)

同じような価値観の年配者と一緒に観ているときなら、全く問題はない。その場にいる多くの人も同意してくれる可能性があるからだ。

だが、若い人も一緒に観ているときに、そんなことを言えば不快に思われるだけだ。自分から孤立を求める愚かな行為なのだが、自分では気づいていない。そうした言動をする年配者は、基本的に「昔はよかった」と思っている。だから、現在の状況に怒る。

若い人が何か気に障ることをしようものなら、説教したくなる。だが、「昔はよかった」という前提だから、若い人に響くはずがない。