警察庁の発表によると、令和6年に自宅で亡くなった一人暮らしの人は7万6020人でした。孤独死する人が年々増加傾向にあるなか、文筆家の門賀美央子さんは、「ひとりっ子親なし配偶者なし子なし」の人が「いかに部屋で腐らず、綺麗に人生を閉じるか」について指南しています。今回は、門賀さんの著書『死に方がわからない』から一部を抜粋し、再編集してお届けします。
いつ死ぬのかわからない
結局のところ、死に方を考える上でもっとも厄介なのが「人間、いつ死ぬかさっぱりわからない」という事実だ。私だって、今これを書いている最中にいきなり心臓が止まるかもしれない。一方、130歳代という前人未到の境地に達し、ギネスブックに載ってしまうかもしれない。いや、そこまでいったらギネスブックなんて目じゃない。医学的な研究対象になって遺伝子を採取され、超長生きDNAの提供者として歴史に名前を残す可能性だってある。それが嬉しいかどうかは別として。
とにかく、先が見えないから不安も起きるし、備えようにもどこから手を付けていいのかわからない。
いっそ、寿命がわかる機械が発明されたら……なんてSF的なことを思ったりもしないではないが、「寿命のわかる社会」がディストピアでしかないのは、それこそSFの諸作品で語られ尽くしていることだし、やはり未来は不確定でないといけないのだろう。きっと、そうじゃないと世界は上手く回らないのだ。
いつまでも空想科学の世界に遊んでいても話は進まないので、現実を確認していくことにする。