この記事の目次
2:戦争が刻んだ食への執着
ー小田桐さんの話は、より深刻で重い体験から始まりました。満州で終戦を迎え、日本に戻れなかった3年間はほとんど食べられない子ども時代を過ごしたそうですね。
小田桐:牛や馬の飼料を粉にしたものを、お茶碗に入れて舐めるんですが、口に入れば何でもおいしいんですよ。
ーこの極限状態の体験が小田桐さんの人生観を形作ったのでしょうか。
小田桐:やっぱり食べるっていうことは、なんて言うんでしょうか...生きるためっていうのもありますけれども、むしろ今も、おいしく食べるために仕事をしたり、おいしく食べるためにいろんなことをしている気がします。食べるっていうことに、凄い執着がありますね。