人から「よくそんなことまで覚えているね」と褒めていただける分野と「忘れたの!?」と驚かれたり呆れられたりする分野があって、例えば小学生の時にテレビで観てたドラマ、CM、映画や音楽など70年代から90年代ぐらいまでの「好きなもの」に対しての記憶装置はビデオデッキ型です。
内容の感動量、自分の中の必要性に合わせて標準録画してるものと3倍録画してるものがあります。
ハードディスクプレイヤーのように一発で「もう要らん。消去!」とならないのがボクの脳の記憶装置で標準録画したもの、例えば高校生の頃追いかけた、つみきみほさんのカネテツのCMとか、そういうのは一生脳に残っているのだと思います。
大切な家族の記録や仕事の思い出、友達との面白かった記憶と同じ棚に高校生の頃観ていたCMが記憶されてるって不思議ですよね。
こういう思い出に関するスペースを30%とさせていただきます。
このスペースも仕事でたくさん反芻して使う場所でもあります。
残りの20%は毎日の暮らしに必要なスペースです。
生活の知恵やおばあちゃんの知恵袋は昔から好きで見かけると今も読んでしまいます。
思ったり、考えたりしたことが仕事につながったり、その時々に受けとめた感情が仕事に生かされる時もあって、自分の脳の中は思ってるより仕事に「支配」と「捧げてる」の間ぐらいのところにいます。
仕事に使えるかも、仕事になるかも、だとかそんな考えは無いのですが、想像から始まる作業が多いので、脳の中に残っている記憶を頼りにすることが多いのかもしれません。
※本稿は、『マ・エノメーリ』(藤井隆:著/KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
『マ・エノメーリ』(著:藤井隆/KADOKAWA)
藤井隆の「素」があふれたオール本人書き下ろし、初エッセイ集。唯一無二のコメディアンが「人付き合い」「仕事」「生い立ち」「得意不得意」「もしも」の話を本音で「前のめり」に語り尽くす。
なるべく「平等で清潔で楽しそう」なほうへ。全世代に読んでほしい、優しく背中を押してくれる珠玉の一冊。