変わった名前の木

植物園などに行くと、植物名が書かれた札がつけられていますが、その名前には、変わったものがあります。「なぜ、そのような名前がついているのか」とふしぎに思われることがあります。たとえば、バクチノキ、ブラシノキ、ショウベンノキ、メグスリノキ、シャボンノキ、ハンカチノキなどです。

バクチノキは、樹皮がほとんどありません。これはバラ科で、日本を含むアジアの温帯地域を原産地とする樹木です。樹皮が絶えず剥がれ落ちる木なのです。博打に負けて身ぐるみ剥がされて裸になっていく様子にたとえられました。漢字名は、「博打の木」です。

ブラシノキは、小さな花が穂のように細長く集まって咲き、その姿が瓶や試験管を洗うブラシにそっくりです。花が咲いているときに名札を見れば、納得できます。これはフトモモ科で、オーストラリアが原産地の樹木です。4月から5月にかけて、大阪府、京都府、兵庫県などの関西地方でも、花が見られます。近年は、鉢植えでも栽培されています。

ブラシノキの花(写真:『雑草散策』より)
ブラシ(写真:『雑草散策』より)

ショウベンノキは「枝を切ったり折ったりすると、切り口から水がしたたるように出てくる」といわれ、この名でよばれます。これはミツバウツギ科で、日本や台湾を原産地とする樹木です。漢字名は、名前の通り、「小便の木」です。

メグスリノキは、「この木の樹皮を煎じて飲むと、目のかすみや疲れを除いてくれる」といわれます。おおげさには、目のかすみを解消し、千里の先まで見えるようになるので、「千里眼の木」とよばれることもあります。健康食品のカタログには、よく出てきます。これはムクロジ科で、日本が原産地です。漢字名は「目薬の木」です。

シャボンノキは、樹皮や葉っぱを細かく砕いて水に混ぜると、石鹸のような泡が出てきます。そのため、この名がついています。石鹸の泡立つ成分である「サポニン」という物質を多く含んでいるのです。この植物は、別名でキラヤとよばれ、シャボンノキ科(キラヤ科)に属し、南アメリカのチリが原産地といわれます。

ハンカチノキは、4月中旬ころから、白色の大きな花びら(正式には、苞<ほう>)をもつ花を咲かせます。この花は、やわらかいハンカチの中央をつまんで枝につるしたような姿をしています。離れて見ると、白いハンカチが風に揺れているように見えることからついた名前です。これはミズキ科(以前は、ハンカチノキ科)で、中国大陸が原産地の樹木です。