
そうなると俄然楽しみが増えて、元気も出てくる…(写真:stock.adobe.com)
時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは福岡県の70代の方からのお便り。町内会の夜間パトロールに参加してみたところ、猫好きの人と知り合って――。
町内会で「猫友」ができた
現在のすみかに落ち着いて30年近くが経つ。家族とともに引っ越してきた私は一般事務の仕事を見つけ、定年まで勤めあげた。その間、ご近所づきあいや町内会の仕事はすべて両親任せ。私自身は隣近所の方とは挨拶する程度で過ごしてきた。
両親が相次いで亡くなると、ひとりっ子で未婚の私は、寂しい独居生活に。母が亡くなる前に、「ご近所に親しい方もいないのだから、少しは町内会の行事にも参加したほうがいい」と助言を受けたことを思い出し、2ヵ月に1回、夜間パトロールに参加することにした。
短時間でも思いがけず会話が弾み、親しく話せる人ができる。その方は大変な猫好きで、家でも飼っているが、地域猫にも餌をあげているとのこと。私も猫が好きなので飼いたいのはやまやまだが、高齢で健康面もイマイチなので、諦めている。せめて地域猫に餌を与えようと決めた。
そうなると俄然楽しみが増えて、元気も出てくる。ほかにも近所の猫好きな方が数人加わり、いつもはいるはずの猫がいないと即座に連絡しあうなど、情報交換が活発になってきた。
いつの間にかさらに友人が増えており、お宅にうかがって話が盛り上がることもたびたび。その間は孤独が紛れる思いがしている。
地域猫の寿命は短く、何度も悲しい思いをしてきた。せめて生きている間は空腹を味わわせないように見守ってあげたいと思う。そんな気持ちをともに抱いているご近所さんとのつきあいも、私にとってかけがえのないものになっている。