関節の痛みや高血圧などの不調。実は、「足首の硬さ」が影響しているかもしれません。足首を柔らかくするストレッチで、全身にアプローチしましょう(構成:村瀬素子 イラスト:まえじまふみえ)
ぶり返す痛みの意外な元凶は
年齢を重ねるにつれて増えてくるのが、腰、ひざ、股関節などの痛みや違和感です。治療して一時的に改善しても、通院をやめるとすぐにぶり返してしまう人は少なくありません。
私はこうした悩みを訴える患者さんを治療するなかで、「足首」の重要性に気づきました。足首は体の一番下にある部分で、全身を支えています。体の“土台”でもある足首が硬かったりゆがんでいたりすると、姿勢が崩れてひざや腰に負荷がかかり続けるため、症状が改善しないのも当然といえるでしょう。
実際、腰痛で来院する患者さんの多くは足首の関節がカチカチに固まり、曲げ伸ばしがしにくい状態。加えて足首とつながっている足指や足裏、すね、ふくらはぎ、太ももなど下半身の筋肉の柔軟性が失われています。
65歳以上になると骨や筋肉の衰えが加速するほか、若い頃に比べて運動量も減少。日頃から足首の伸縮が十分に行われないために、可動域が狭くなってしまうのです。この状態を放置すると主に下半身のほかの部位に負荷がかかり、腰痛をはじめ股関節痛、坐骨神経痛、ひざ痛、脊柱管狭窄症、足底筋膜炎といった痛みやこりを引き起こします。
また、足首が硬いと、血液を心臓へ押し戻すポンプの役割を担うふくらはぎも、十分に使うことができません。すると血流やリンパの流れが滞り、高血圧、脂質異常症などの内臓の病気や、冷え、むくみなど全身のあらゆる不調につながるのです。