野田秀樹さんには僕から会いに行って、『贋作 罪と罰』とか『キル』とかに出ています。
あの頃の野田さんの芝居の作り方って、一年前にプレ稽古みたいな。こんな芝居を作りたいんだけど、ってワークショップみたいなことをやる。僕はずいぶん参加してます。
外で受けた刺激を今、文学座の研究生の授業に活かしたりするわけだけど、若者たちには昔の言葉がどんどん通じなくなりますね。たとえば「暖簾に腕押し」って言ってもわからなかったり。
最近の文学座では、ベケットの『肝っ玉おっ母とその子供たち』の年輩の軍人役とか、まぁそういう役どころになってきましたね。でも研究生たちの芝居を好きに演出するのは楽しくて、これは天国ですよ。(笑)
どうぞいつまでも意欲旺盛な演劇青年でいらしてくださいませ。
小林勝也
俳優
1943年東京生まれ。早稲田大学文学部卒業後、66年に文学座附属演劇研究所入所。69年、座員となり現在に至る。読売演劇大賞・優秀男優賞を3度受賞。文学座の舞台のみならず、外部作品にも精力的に出演。直近の出演舞台は『肝っ玉おっ母とその子供たち』。近年の映像作品としてはドラマ『お別れホスピタル』、映画『ロストサマー』『あんのこと』ほか
関容子
エッセイスト
雑誌記者を経て、エッセイストに。1981年『日本の鶯――堀口大學聞書き』で日本エッセイスト・クラブ賞、角川短歌愛読者賞受賞。96年『花の脇役』で講談社エッセイ賞、2000年『芸づくし忠臣蔵』で読売文学賞、芸術選奨文部大臣賞を受賞。『勘三郎伝説』『客席から見染めたひと』ほか著書多数。最新刊『銀座で逢ったひと』(小社刊)が好評発売中