
サウナで「ととのう」
とにかくお風呂が好きな子供だった。家のお風呂もだが、両親がたまに連れて行ってくれる銭湯がいつも楽しみ。やがてスチームサウナつきの銭湯も増え、サウナと水風呂のくり返しが気持ちよく、私をとりこにした。
中高生のころには、私があまりにも長湯をするため、父親が車で送り迎えをしてくれて、3時間ほど入浴することもあった。
大人になりひとり暮らしを始めると、どれだけ長い時間お風呂に入っても、誰からも文句を言われないことに幸せを感じた。雑誌や飲み物を持ち込んでは、飽きるまで入る。自分でもなぜこんなにお風呂が好きなのかはわからない。もしかすると前世でお風呂に入りたくても入れない環境に育ち、その雪辱を今世で果たしているのかもしれない、と思ったりもするほどだ。
そんなお風呂好きの私が「サウナー」になったのは、サウナをテーマとしたTVドラマを見たのがきっかけだった。サウナ初心者の主人公がいろんな施設を訪れながら、入り方やマナー、そしてその醍醐味を知っていく。
そこではじめて「ととのう」という言葉を知った。サウナ、水風呂、外気浴を順番にくり返すことで、うっとりするほどのリラックス効果を感じるというのだ。これまでサウナと水風呂の往復しかしていなかった私は、そんな感覚とは無縁だった。
それからというもの、なんとかしてととのいを体験したくて、本を読んだりユーチューブを見たりして、サウナの入り方を調べた。ついには「サウナ・スパ健康アドバイザー」の資格にも挑戦し、サウナが身体に与える効能なども学んだ。
サウナハットやマット、さらには心拍数などがチェックできるスマートウォッチまで購入し、今はめでたく、ととのいを感じられるようになった。
ととのうことを知らずにいた過去の自分は、実にもったいなかったとも思う。しかし、あのころは純粋にお風呂を楽しんでいたのだから、それはそれで良かったのだろう。
空前のサウナブームである昨今、人気の施設は若者で混み合っているが、そこは持ち前のおばちゃんパワーを発揮し、サウナ室の上段や露天スペースの椅子を確保するべく、日々奮闘している。
そんな私の夢は、本場・フィンランドのサウナに入ること! まだ赤ちゃんの孫2人と将来、一緒に行けたら最高だ。