精神疾患全般を理解する上で重要なこと
脳の基本原理であり、精神疾患全般を理解する上で重要なのは、脳が動的な緊張関係で機能するということだ。これは子育てでも当てはまる。赤ちゃんの世話には微妙な力加減が要求される。細心の注意を払いつつ、執着しすぎてもいけない。即座の反応が必要な場合もあれば、慎重な対応が求められる時もある。
相反する結果をもたらすように見える脳活動回路間での「相互抑制」とも言え、動物一般の子に対する攻撃性とグルーミング行動、親としての防御反応と養育行動などもそうだ。
こうした微妙なバランスは多くの場合(常にではない)、ストレスと密接に関連している。経験するストレスの強さ、タイミング、持続時間、追加的なストレスへの耐性といった要因が影響を及ぼす。親の脳を理解するためには、妊娠期から産後期にかけて、ストレスがいかに脳に作用するかを理解する必要がある、という認識が広がりつつある。
※本稿は、『奇跡の母親脳』(新潮社)の一部を再編集したものです。
『奇跡の母親脳』(著:チェルシー・コナボイ 訳:竹内薫/新潮社)
「親になると、脳が変わる?!」
ピュリッツアー賞受賞のジャーナリストによる、従来の「母性神話」では説明のつかない、人類の脳と育児の謎に迫る衝撃のレポートです。