お好み焼きを焼けたら、勉強を始めるタイミング?
勉強を始めるタイミングは、本人が「勉強したい」と言い始めたときだと、私は常々言っています。学ぶことは楽しいものであり、心が回復すると、自分で知りたいという意欲が自然に湧いてきます。年齢に合ったことを知らないと、恥ずかしさが出てきて「勉強したい」と思うようになることもあります。だからこそ、本人がその気になったタイミングで進めるのが最適なのです。
私が勉強を始める指針としているのは、その子がお好み焼きを作り始めるタイミングぐらいがいいだろうと思っています。不登校になった子どもたちは、最初のうちは料理を作る元気がありません。しかし、少し心が回復すると、まず挑戦するのがクッキーやパン作りです。これらは決められた分量どおりに作れば失敗が少ないため、安心して取り組める料理だからです。
でも、お好み焼きは分量をそれほど厳密に量らなくても大丈夫。フリースクールで作るときは、野菜を切る人、たねを作る人、混ぜる人、ソースを作る人など、分担作業で進めます。いろいろな人が自分のやり方で進めても、最終的には「何とかなるさ」と思えるのがお好み焼きです。
何も作れなかった状態から、まずは失敗の少ないクッキーやパン作りに挑み、やがて、「何とかなるさ」のお好み焼きに変わったとき、その子の世界は広がっているはず。心が回復すれば、新しいことにも挑戦できるようになり勉強への意欲も生まれます。そのときその子が学びたいと思えたら、それが勉強を始めるタイミングなのだと思います。もちろん、料理を作るのはフリースクール内にかぎらず、家庭内で一人で作るのでも同様のことが言えます。
意味がないと思っていたYouTubeやゲームからも多くのことを学んでいるから安心して。
※本稿は、『小学生不登校 親子の幸せを守る方法 400人の声から生まれた「親がしなくていいことリスト」』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
『小学生不登校 親子の幸せを守る方法 400人の声から生まれた「親がしなくていいことリスト」』(著:石井しこう/KADOKAWA)
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