「自分は若い」と思うこと
ここで、ドイツの老年医学センターが発表した面白い論文の話をしましょう。
40歳以上の中高年5000人を対象に、「あなたは自分が何歳だと感じていますか?」と質問し、「機能的健康レベル」の変化を30年間追跡したそうです。機能的健康レベルとは「日常生活動作をスムーズにおこなうことができるかどうか」の指標です。
その結果、どうなったと思いますか。なんと「自分は実年齢より若い」と答えた人ほど、機能的健康レベルの低下がゆるやかなことがわかったのです。論文の執筆者は「自分は若い」と思うことこそが、ストレス緩和につながり、それが機能的健康レベルの低下を防いでいると推論しています。その通りだと思います。
老いた自分に失望したり、嫌悪したりするなんてバカなことです。芸能人なら、年齢詐称はネットニュースになりますが、一般の高齢者なら、大きな問題になどならないでしょう。自称年齢などマイナス10歳で十分なのです。
※本稿は、『80歳で体はこう変わるからやっておきたいこと』(興陽館)の一部を再編集したものです。
『80歳で体はこう変わるからやっておきたいこと』(著:和田秀樹/興陽館)
年をとって変わることなんて当たり前。
それでも、大丈夫、心配いりません。
この本では、変わっていく自分の体に対して、どう考えて対処すればよいのかを書きました。