「自分は若い」と思うこと

ここで、ドイツの老年医学センターが発表した面白い論文の話をしましょう。

40歳以上の中高年5000人を対象に、「あなたは自分が何歳だと感じていますか?」と質問し、「機能的健康レベル」の変化を30年間追跡したそうです。機能的健康レベルとは「日常生活動作をスムーズにおこなうことができるかどうか」の指標です。

その結果、どうなったと思いますか。なんと「自分は実年齢より若い」と答えた人ほど、機能的健康レベルの低下がゆるやかなことがわかったのです。論文の執筆者は「自分は若い」と思うことこそが、ストレス緩和につながり、それが機能的健康レベルの低下を防いでいると推論しています。その通りだと思います。

老いた自分に失望したり、嫌悪したりするなんてバカなことです。芸能人なら、年齢詐称はネットニュースになりますが、一般の高齢者なら、大きな問題になどならないでしょう。自称年齢などマイナス10歳で十分なのです。

※本稿は、『80歳で体はこう変わるからやっておきたいこと』(興陽館)の一部を再編集したものです。

【関連記事】
<老けない肉ベスト10>は?脂質の高い肉は「老ける」「太る」の原因に。寿命を延ばすには「高タンパク質な肉」を【2025編集部セレクション】
和田秀樹「コンビニ弁当」が長寿につながる!?歳を重ねたら「栄養があまる害」より「栄養が足りない害」のほうが大きい【2023編集部セレクション】
和田秀樹「記憶」より「意欲」の低下が老化を早めるって本当!?「何事もおっくう」と感じるなら、前頭葉機能が低下し始めている証拠かも【2023編集部セレクション】

80歳で体はこう変わるからやっておきたいこと』(著:和田秀樹/興陽館)

年をとって変わることなんて当たり前。

それでも、大丈夫、心配いりません。

この本では、変わっていく自分の体に対して、どう考えて対処すればよいのかを書きました。