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年を重ねていくと、心身にさまざまな変化が生じます。老後を元気に過ごしていくためには、どうしたらよいのでしょうか?今回は、長年高齢者医療に携わる精神科医・和田秀樹先生が、変わっていく自分の体に対する考え方や対処法をまとめた『80歳で体はこう変わるからやっておきたいこと』から、一部を抜粋してお届けします。

感情の老化

老化にブレーキをかけることはできません。ですから、将来、自分の身に何が起こるのかという「傾向」を知り、いまから対策をしておくことが必要なのです。

まず、知っておいてほしいことは、老化によって体力が低下していくと、同時に心も弱っていくということです。むしろ、心が弱るから体が弱る、といったほうがいいかもしれません。

「最近、やる気が出ない」と感じるようになったら、注意が必要です。「感情が老化」してきているサインかもしれません。感情の老化は、早い人で40代から始まるのですが、この感情の老化こそが、あらゆる老化現象の元凶といえます。

感情の老化は、体の老化と違い、なかなか自分では気づきにくいものです。たとえば、昔はとてもきれい好きだったのに、片づけや掃除がおっくうになり、いつの間にか散らかり放題の汚部屋になってしまった。あるいは、外出するのが楽しみだったのに、どこかに行きたい気持ちがわかず、家に引きこもりがちになってしまう。ファッションにも、無頓着になってきてしまった。

これらに当てはまるかたは、感情が老化している傾向にあるといえます。感情が老化すると、心も体も見た目も一気に老け込んでしまいます。そうなると、健康なまま長生きすることはとても叶わなくなるのです。それどころか、うつ病や認知症を引き起こす可能性も出てきてしまうのです。

あなたは、出かける予定がないからと、一日中パジャマやジャージでゴロゴロしていませんか。ずっとダラダラ過ごしていては、気持ちは切り替わりません。テレビの前でぼーっと過ごしていると、脳への刺激もなくなり、前頭葉がますます衰えていきます。これでは、感情も意欲も低下する一方です。