動作性IQと言語性IQ
73歳から83歳までのかたにおこなった知能検査の結果では、動作性IQというパズルを解く能力は、年をとるにつれ低くなることがわかりました。でも、言語性IQは、年をとるにつれ上がるという結果が出ているのです。そもそも、人間は知的レベルの高い人のほうが長生きするからなのですが、それを踏まえてみても、言語性IQは、73歳と83歳ではほぼ違いがありません。
言語性IQとは、言葉を理解する能力や、耳からの情報を理解する能力のことをいい、その人が持っている教養や知識のレベルを表したものです。つまり、頭がいいとか悪いとかは、この言語性IQが決めるのです。
具体的な数値でいうと、73歳のかたの言語性IQは約104。それが83歳のかたになると約108となります。この数値は、言語性IQは高齢者になっても維持されることを示しているのです。
脳が老化してくると、たとえば『文藝春秋』などの難しい本も読めるのですが、それを、わかりやすい言葉で他者に解説することが難しくなってきます。つまり、アウトプットの力が落ちやすくなるわけです。でも、だからといって、その人が持つそもそもの頭のよさが失われることにはなりません。年をとったらすぐに頭がバカになるとか、脳が衰えてとんでもないことになるとかは、あなたの思い違いです。