大切なことに気づいたことを、後輩に伝えたい

そして、ある日から手紙を書くようになりました。

この病気を通して大切なことに気づいたことを、会社の後輩達に伝えたいと願うようになったからです。銀行にとって、一番大切なことは信頼であること。どれほど仕事上の数字が良くても、信頼を失うような営業や取引を行ってはいけないこと。

たとえ、短期の視点では利益が少なかったとしても、銀行の役割は社会にとって血液であり、生活を守る役割として責務を果たしてほしいことを何十通も書くようになりました。

家族への言葉も変わっていきました。奥様や娘さんへの感謝の気持ちであふれていきました。日に日に身体は弱っていきましたが、目は逆にきらきらと輝いていきました。

そして、静かに人生を閉じていきました。

私は、ただ長生きするだけが幸せとは思っていません。

たとえ生きている時間が他人より短かったとしても、自分の生きている意味を見つけた人は、幸せな人生を送ることができます。

あなたは、生きている意味を意識したことはありますか?

普段は考えることはほとんどないかもしれません。

しかし、苦しいときは、生きている意味を知るきっかけになります。

この機会にあなたの生きている意味を考えてみませんか?

きっとそれがあなたにとって幸せに気づく機会となります。

 

※本稿は『暗闇の中で「小さな灯」に気づくヒント だから、あなたも幸せになれる』(大和出版)の一部を再編集したものです。

【関連記事】
娘の不登校、母の介護、がんの告知…今が暗闇の中でも、幸せを見つけることは不可能ではない……ホスピス医が語る人生の本質
93歳の精神科医に学ぶ人生のヒント。「両親との同居が〈人生最悪の日々の始まり〉やりたい放題され、夫は派手に飲み歩く。乗り越えた秘訣は、期限を決めること」
93歳・樋口恵子<ピンピンコロリ>は幻想。実際はピンピンとコロリのあいだに長い<ヨタヘロ期>が…「ヨタヘロの身に鞭打ってピンピンを目指さなくてもいい」

暗闇の中で「小さな灯」に気づくヒント だから、あなたも幸せになれる』(著:小澤竹俊/大和出版)

仕事・健康面・プライベート等の苦難、苦境、苦労etc.
「なぜ私だけが?」と思った時、ぜひ本書を手に取ってください。
4000人を看取ったホスピス医からの心が豊かになるメッセージ。

幸せになることは不可能だと思っているあなたへ――
そんなことはありません。
私は多くの患者さんとの出会いから、今がたとえ絶望の暗闇の中にいたとしても、それぞれの「幸せ」を見つけることは不可能ではないと確信しました。