身近にあるものを活用して楽しく暮らす

そう、用途に応じてものを揃えると、ものがどうしても増えてしまいませんか。私たちの場合、まず好きなものであることを優先し、どうそれを活用するかは後付け。

そうしたことが、実はけっこう多いんですよね。また、使ってみると、ほかの用途を思いついたり、別のアイデアも浮かんできたりします。

例えば、台車の上にパソコンやコピー機を置いています。「好き」から入ると、ものの用途に余白というか、いろんな可能性が生まれます。

また、移住したばかりの頃は、都会のショップでないと手に入れられないものがまだまだたくさんありました。

安曇野ですと、近くても車で30分ほどかかる松本市などに行かないと買えない不便さがありました。

ここ数年のうちに安曇野にも大きなショッピングモールや無印良品の大型ショップなどができて、昔ほど不便ではありません。

ただ、移住当初の、身近にあるものをいかに活用して楽しく暮らすか、というアイデアや知恵を絞ることは、振り返れば大事なことだったかもしれません。

移住してまもなく、夫が庭先のススキを冬に刈り取り、タコ糸でくくったミニほうきを手作りしました。

ご近所にもお渡ししたら好評で、今でも毎年のように手作りしています。このほうきは、我が家ではちょうど土間の隅の掃き掃除にぴったりなんです。

身近な素材で必要なものを手作りすることはとても面白い。

ものを増やさずに今あるもので工夫して暮らしの不便さを解消すれば、毎日がより楽しく充実したものになります。

※本稿は『80歳、私らしいシンプルライフ』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

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80歳、私らしいシンプルライフ』(著:徳田民子/幻冬舎)

東京から安曇野に移住して16年。元『装苑』編集長、初のエッセイ
第2の人生を自分らしく楽しむ、シンプルで心地よい暮らしとおしゃれの工夫

60代で長野県安曇野市に移住し、第2の人生をスタートさせた元『装苑』編集長、徳田民子さん。移住のきっかけは、夫婦で訪れたドライブで眼前に広がる美しい北アルプスの風景だった。たくさんのものを手放し、暮らしをリセットする中で気づいたのは「シンプルって、心地いい」ということ。
移住から16年。四季のはっきりした安曇野での暮らしやおしゃれの工夫、毎日をごきげんに過ごす秘訣など、80歳を迎えた徳田さんの心豊かな日々をご紹介します。