美久子は私とはタイプの違う女性だけれど
実のところ、私自身は美久子とは違うタイプで、レストランでも本当に自分の食べたいものには率直です。「私はコレ」と伝えます。恐れずに明るく自己主張するタイプですね(笑)。でも私としては、役と自分との関係に距離があったほうが、やりがいを感じます。
自分の感覚では理解できない人を演じるのが楽しいというか、本来の私はさておき、別の思考回路が構築されていくことが楽しいんです。
俳優業をやっていて面白いなと思うのは、一人として同じ人物を演じることがないこと。デビューしてから40年になりますが、マンネリを覚えたこともなければ慣れることもありません。
どうしたら自分が役者としての鮮度を保てるだろうか? と常に考えているせいか、いつも緊張してしまいます。クランクインの前日は眠れませんし、なんでこんなに大変な仕事を受けてしまったのだろう、と不安に押しつぶされそうになることも。でも張りつめた気持ちになるのは真剣勝負だからですよね。役と出会える、そして真剣に挑めることがあるのは幸せなこと。感謝しています。