苦しい時期もあったけれど、すべてが正しい選択だった

私は19歳の時に芸能活動を始め、20代は仕事一辺倒で過ぎて行きました。妊娠を機に31歳で結婚して、息子を出産してからは子育て中心になりましたが、5年後に離婚してシングルマザーに。その後、息子が10歳になった41歳の時に再婚し、52歳で乳がんがみつかりました。手術を受け、術後はホルモン療法による薬の服用、そして放射線治療、抗がん剤の投与が始まり本当に辛かったです。

ところがやっと日常生活を取り戻せたという頃に元夫の問題を報道で知り、気づいたら重度のうつ病になっていました。暗闇の中に放り込まれたような日々の中で私が選んだのは、サンフランシスコで過ごすこと。当時息子が現地の大学に通っていたこともあり、うつ病の薬を捨てて、サンフランシスコで暮らす友人の家でお世話になりました。

規則正しい生活を心掛けて、午前中から語学学校へ通ったりヨガをしたり、食事を作ったり。そういう何気ない暮らしがよかったのでしょう。時間はかかりましたが、徐々に回復し、さまざまなことを冷静に考えることができるようにもなりました。その結果、自分の心に嘘をついてまでやり直すことはできないと決断を下して、54歳で結婚生活に終止符を打ったのです。

なかなかに盛沢山な人生ですよね(笑)。でも過ぎてしまえば「いろんな経験をした」ということでしかなく、今に至るまでの自分の選択に後悔はありません。苦しい経験があったから今の喜びがある。大病から生還したことに対する感謝が大きいので、今日も生きているだけで幸運だと思えますし、仕事にも救われました。

そしてもう一つ、どうやら私は忘れる能力が高いようで、ネガティブな感情を抱えていないでどんどん流していく。過去にとらわれすぎず、大事なのは今だと、現在進行形で生きています。