こうなったら、携帯電話でF子に連絡するしかありません。ところが、当時使っていたガラケーはアドレス帳の検索機能が充実しておらず、名字がわからないと電話番号を見つけられない。
私は公園のベンチに腰かけて考えました。ア行、カ行ではなかった。ラ行、ワ行でもない。なぜか自信を持って確信しました。タ行、ナ行が本命か。サ行もありかも、と予想。どこから見ていこう。よし、本命のタ行からいこう。
……あった! 彼女の名前は「ツ」の欄にあったのです。そうだそうだ、ツ××だ。ツ××F子だった。頭文字さえも思い出せなかったのにタ行を本命にしたのは、われながらアッパレではありませんか。
すぐにF子に電話をして事情を話すと、家は道の反対側とのこと。無事に彼女の家に着き、思わずF子に「反対側とは聞いてないよ」と言うと、「たしかに伝えた」と、よくある水掛け論。ま、無事着いたのだからいいじゃないの、とお茶をいただいているうちに、電話で聞いたような気がしてきました。
するとF子が、「私、もしかしたら伝えなかったかもねえ」と言うので、「いやいや、私は聞いたような気がしてきた」と返し、2人で大笑い。それから、名前が思い出せない話で盛り上がりました。