上機嫌で出かけたのに、トイレで鏡を見てあ然

もう1つの話も10年近くさかのぼりますが、これは教訓でもあります。

お世話になっているYさん夫婦とのランチの日。2人が好きなお菓子と、長い間お借りしていた本を鞄に入れておきました。最寄り駅まで徒歩30分かかるものの、5月の爽やかな気候が気持ちよく、歩いていくことに。

上機嫌で駅に向かっていると、ご近所さんが道を掃除しています。私は、後ろから「おはようございます」と挨拶しました。振り返った彼女に「お出かけですか」と聞かれ、「はい」と笑うと、驚いたような顔をして、「行ってらっしゃい」と、もごもご言うのです。

通り過ぎてから、「なんだか変な顔をしていたけれど、私の顔に何かついているのかしら」と不思議に思い、顔を触ってみますが、何もついてはいなそう。

念のため、駅に着いてからトイレの鏡で自分の顔を見ると、やっぱりとくに変なところはありません。思い過ごしだったのか、よかった。そして鏡の自分に、ニッと笑いかけました。

――うわっ、これだ。あ然としました。なんと、入れ歯をつけ忘れていたのです。つくってから日が浅く、気づかなかったのでしょう。

しかも下の前歯2本がないので、口を開けたら、その空洞は一目瞭然。上の入れ歯は奥に2本ずつで外からは見えませんが、つけていないと食べ物を咀嚼できません。顔は合わせられないし、ご飯も食べられない。これはまずい。