娘のIMALUは、いま、奄美大島で生活しています。一緒に暮らしているパートナーが奄美出身の方で、地元に家を建てて。海が見えるところで暮らしたいという思いを実現できたみたい。私も何度か訪れていますが、本当に素敵なところ。星を見上げるのではなくて、水平線までずっと星空なんです。

娘もすごく変わりましたね。一日の始まりと終わりに感謝して、「今日も一日、無事に終わった。健康でいられたら、ほかに何もいらない」と感じるそうです。

子どもたちは巣立っていきましたが、たまにさんまさんや家族で集まって、うちでお鍋とか食事をしながらおしゃべりするのは楽しい時間です。先週は私の姉と妹、娘が来たばかりで賑やかでした。

同居していた母を2018年に見送り、息子も自立して、シングルアゲイン。いまの正直な気持ちは「肩の荷が下りた!」という感じ。息子とは40年一緒だったので、独立してくれて本当の意味での子育てが終わった気がします。

母は最期までうちで暮らしました。とても気丈な人で、人に助けてもらうことはあまり好きではありませんでしたが、晩年は甘えることも覚えて、私たちのサポートを受け入れてくれた。

この家で子どもたちと一緒に看取ることができたのは本当によかったと思います。「老いる」とはどういうことなのか間近に見られたことが、私にとっても子どもたちにとってもすごく勉強になりました。

おそらくこの先、子どもたちが老いた私を見て、「あれ、お母さん、忘れっぽくなった」「階段をトントンと上らなくなったね」などと思うようになるのでしょう。次は私の番だ、と身に染みて感じる年齢になってきました。

後編につづく

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