嘘の大切さと本質

しかし、子どもの場合は違います。人間性の軸となる価値観ができあがるまでの大切な時期である6歳〜7歳までに、「素直であれ」「正直者は得をする」と教えるべきです。

「嘘をつくとエンマ様に舌を抜かれる」「嘘は泥棒の始まり」と、私も子どもの頃に祖父母によく聞かされていましたが、これも子どもに対しては効果的です。

(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

子どもの嘘と違い、大人になると嘘の範囲が広義になります。たとえばなにかを褒められたとき、謙虚に「そのようなことはありません」ということもある意味嘘になり、それは社交辞令や挨拶の類だったりもします。

[大人の嘘の動機のトップ3]
(1)利他的な理由(他人の幸せのための嘘)。
(2)個人情報の秘密保持(自分や他者の安全確保)。
(3)判断されることの回避(否定的な評価を避ける)。

つまり、誠実さと謙虚さが高い大人であっても、嘘が多いということになります。

子どもには、嘘の大切さと本質を教えてあげましょう。基本的には「正直にあれ」ですが、誰かをかばってついた嘘のときは、「なんで嘘をついたの?」「正直に話してみて」と聞いてみてください。子どもは大人が思っているよりも、大人の行動や感情をくみ取り、優しい嘘をつきます。

たとえば、両親の仲が悪かった子どもが、親のことをかばって嘘をつくときがあります。私はカウンセリングの中でそのような場面に幾度となく遭遇しています。ママがパパの悪口を言っていても聞いていないふりをする、または真反対なことを言うなど。

日頃から子どもとの信頼関係を作っておかなければなりません。