自分にだけは、正直であること

素直さや正直が優しさと思ってはいけないよ。それが事実だとしても、知らなくてもいいことがある。だからなんでも正直に話せばいいわけではない。

あえて言わないことが、相手に対する優しさになるときもある。

嘘をついてもらったほうがいいときもある。人はそんなに強いものではない。

正直にすべて話すことで、相手を傷つけることもある。だから話さなくてもいいことは伝えなくてもいい。このことを絶対に忘れないでほしい。

これは、天に召された私の親友が残してくれた言葉です。

子どもの嘘を見つけたときは、黙って見過ごすときと、「この嘘はダメだよ」とその場で伝えるときがあることを知っておいてください。中学生までの嘘はたいてい、自分を守る嘘になるでしょう。その場合は、素直に話すことこそが、自分を守ることになることを教えてあげましょう。

現在の子どもたちはSNSという息ができなくなるほどの膨大な情報の中にいるため、嘘と現実の境界線が曖昧になりがちです。だからこそ、自分の頭で考える思考のクセをつけさせる必要があります。

嘘をテーマにした家族会議を開いて話し合うのもいいでしょう。

「どうして嘘をついたの?」
「この嘘は誰のためになるの?」

まずはこのように子どもに聞いてみてください。単純に嘘をつくことが習慣になっているようであれば、正せばいいことで、もしもその嘘が誰かを守りたいがゆえの嘘であれば、褒めてあげればいいのです。

「自分にだけは、正直であること」を子どもの心に刻み込んであげてください。生きていくための情熱のエネルギーに変換されるものですから……。

※本稿は、『母と娘の関係を変える魔法の言葉術』(WAVE出版)の一部を再編集したものです。

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