呼吸は年齢とともに「弱くなる」
自分の呼吸が浅いことに気づいて、呼吸に関する文献を調べていくと、加齢とともに呼吸が弱くなることもわかってきました。呼吸のメカニズムを簡単に紹介すると、次のような流れになります(【図版】)。
(1)空気(酸素)を吸うと横隔膜が下がり、肺のまわりのスペースが広がり、酸素が肺の中に入り込み、肺が膨らむ。
(2)肺から酸素が血液に入り、同時に二酸化炭素が血液から肺に移動する。
(3)横隔膜が上がると肺がしぼみ空気が押し出され、二酸化炭素を含んだ空気が口や鼻から出ていく。
実は、この呼吸に関連する部位も、体の他の部位と同様に加齢とともに衰えてきます。
たとえば、年を取ると肺は弾力性が低下します。
横隔膜そのものや、横隔膜の動きをつくる肋間筋などの筋力も落ち、胸郭(胸まわりの骨格)は硬くなってきます。
また、高齢になると背中が丸くなる傾向があり、肺の動きを制限します。
こうしたことが積み重なり、年を取ると呼吸が浅くなるといわれます。
つまり、年を取ると若い頃と同じような呼吸ができなくなるのです。
もちろん、意識してゆっくり大きく呼吸すると質は高くなりますが、無意識下での呼吸になるととたんに元に戻ります。
ヨガを試してみたときに、とにかくゆっくり深い呼吸を意識すると、リラックスできて眠れたことがありました。
副交感神経が優位になっていたからなのでしょう。
しかし、しばらくすると目覚めてしまっていたのは、いつもの呼吸に戻ることで交感神経が優位になってしまっていたからだったのです。