(2)ひとつのジャンルを徹底的に食べてみる

ある程度自分の好みを把握できましたでしょうか。では次のステップです。

好きだと思えるお店を見つけましょう。

まずひとつのジャンルだけを徹底的に食べてみる、というのはいい方法かと思います。比較して初めてわかることはたくさんありますし、味の基準がわかってきます。日本料理や鮨といった高級店はなかなか難しいですが、できるならそのジャンルの最高峰といわれるお店も経験しましょう。ただ、基準もわからないまま最初にそこに行ってしまうと、実は良さを感じられません。段階を踏むことです。それにそっちの方が楽しいではないですか。

最初はチェーン店に行ってみてください。調理器具も冷凍保存の技術もリサーチ力も飛躍的に発展した現在、どこもきちんとおいしいです。大事なのは、これが万人に受ける味なんだということを確認して下地を作ることです。

10年以上前ですが、ファミレスでマナーを覚えようという連載を企画したことがあります。「サイゼリヤ」でイタリアンの基本マナーを、「バーミヤン」で中華メニューのオーダーの仕方を、といったものでしたが大好評でした。そういう練習の場としてもチェーン店は貴重です。

次はいよいよ、ご自身が気になると思ったお店を回ってみましょう。好きな店と出合う旅です。

自分なりの選び方がみつかればそれが一番ですね。

例えば、私が編集している『東京最高のレストラン』では、マッキー牧元さん、森脇慶子さん、松浦達也さん、小石原はるかさん、浅妻千映子さんという、5名の食のトッププロが実名でお店を評価しています。ですから、ある評価者の好きなお店の傾向がご自身と似ているなと感じたら、その人が高評価を付けているお店に行けば、失敗が少ないと思います。

「肉山」でブームを起こし、今は投資家として活躍している光山英明さんは、気になるお店があったら、「食べログ」で低評価をしている人の投稿を読むそうです。光山さん自身の中に確固たるお店の評価基準があるので、評価の低い理由がご自身の基準と重なるようなら行かないし、関係なければ訪れてみるのだとか。

などなど、選び方は多岐にわたるのですが、一般的に高評価のお店なら失敗は少ないと思います。