(写真提供:Photo AC)
50代は、経済的なことや健康のことなど、これからの人生についてリアルに考え始める人も増えてくる年代です。レストランガイド「東京最高のレストラン」編集長の大木淳夫さんは、「50代は残された時間を豊かに過ごすスタート時点として大切な時期。だからこそ美食を趣味にするといい」と語ります。そこで今回は、大木さんの著書『50歳からの美食入門』から一部を抜粋し、中高年の外食における楽しみ方をご紹介します。

「慣れてる」と思われる注文の手順

アラカルトの大問題

レストランに入ってから一番楽しいのは、メニューを見る時間です。

このお店にはどんな料理があるんだろうと思いながら、ひとつひとつ料理名を眺め、作戦を立てる時間はワクワク感しかありません。

ところがもう長い間、ある程度高級な料理店では「おまかせ」が主流です。お店側のメリットが大きいように感じますが、客にとっても“座れば自動的に料理が出てくるシステム”は楽なので一気に広がりました。

しかし、グルメブームをけん引してきた世代が高齢化した最近、反発が広がっています。もうたくさんは食べられなくなり、おまかせだけだと量が多すぎて、お店に行きたくても行けなくなってしまったからです。

そんなこともあり、徐々にアラカルトが復権してきたのですが、ここでまた大きな問題が。30代、40代といった今の主流層はおまかせで育っているので、「お好きなものを注文してください」と言われても、どう頼んだらいいのかわからないんですね。

あるアラカルト主体のフレンチシェフは「これは大変な問題です」と悩んでいました。今はバブル世代の常連が来て料理を上手に頼んでくれるけれど、その下が育っていないので、この先どうなってしまうのだろうと。

みなさんはどうでしょうか。居酒屋なら選べるけど、フレンチやイタリアン、中華だと不安かも……って思っていますか。でも大丈夫です。簡単なコツさえ覚えてしまえば、すぐにメニュー選びは楽しくなるし、お店の人からも、あの人慣れてるなって思われるようになりますから。

知的冒険を楽しみましょう。