一皿ぐらいは冒険してみる
何皿か頼むわけですから、一皿くらい冒険してみてもいいでしょう。気になる食材や調理法があればチャレンジしてみると新しい発見があるかもしれません。もし自分に合わなくてもそれは経験値として残りますしね。
よく料理人が嘆いていますが、日本人はメインの肉はなんと7、8割の人が牛肉をオーダーするようです。ですから敢えて豚や鶏、ジビエなどで勝負したくても「牛はないんですか?」と聞かれてしまうと。
これももったいないですよね。特にジビエに関しては実は日本が世界で一番おいしいともいわれています。シェフの腕はもちろん、捕獲後の処理が適切なのも大きな要因です。猪や鹿、熊、鴨といったところが有名ですが、ヌートリアやトドも注目のジビエだそうです。お店で見つけたらチャレンジしてみてください。
初めての訪問なら、基本となるメニューを頼んでみる、というのもよく言われることです。鮨ならコハダ、ピッツェリアならマルゲリータ。シンプルゆえにだましのきかない仕込みを、きちんとこだわっているか、味のベースはできているか、といったことを確認するためです。土台がおいしくないと、何を重ねても仕方ないですから。
ただ、お店の調査に行くわけではないので好きなメニューを頼めばいいと思いますが、知識としてお伝えしておきます。
※本稿は、『50歳からの美食入門』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
『50歳からの美食入門』(著:大木淳夫/中央公論新社)
食べ歩き歴30年、シェフが絶大な信頼を寄せるグルメガイド『東京最高のレストラン』編集長が教える、中高年のための外食入門。
「ひとりで楽しむ」「高級店、予約の取れない店じゃない店の楽しみ」「慣れて見えるオーダー手順」「サービス人とのコミュニケーション」「カウンター鮨の心得」「会食の店を選ぶコツ」――すべて教えます。




