老人が感情をコントロールできなくなる原因は?(写真はイメージ/写真提供:Photo AC)

 

情報伝達の最上位中枢器官で、全身の機能を統合・制御する司令塔<脳>。脳の部位は一度衰えるとなかなか回復しない反面、実はバックアップ機能を備えているそうで「元気な神経細胞によって、落ちた記憶力をカバーすることができる」と話すのが、老年病と認知症の専門医・遠藤英俊先生です。今回その遠藤先生の著書『こうして脳は老いていく』より、何歳からでも遅くない脳がよみがえる方法を紹介します。

「怒れる老人」になる原因は前頭前野の衰え

脳の老化は一般的な傾向としては、前頭葉(特に前頭前野)、海馬、側頭葉、頭頂葉、後頭葉、小脳、脳幹などの順に機能低下が起こりやすいといわれます。それでは、脳の偏りによってどんな老化のサインが現れるのでしょうか。

最初に紹介するのは、脳のリーダーともいえる前頭葉です。

特に、前頭葉にある前頭前野は、私たちの思考や行動をコントロールする脳の司令塔のような存在で、機能が低下すると、日常生活のさまざまな場面で老化のサインが現れます。

まず、怒りっぽくなったり、我慢できなくなったりします。

誰かにイラッとしたとき、「ここで怒鳴ったらまずいな」とグッと我慢できるのは、感情を抑えたり、冷静に判断したりする前頭前野が「ストップ!」とブレーキをかけてくれるからです。

しかし、前頭前野が衰えるとブレーキが効きにくくなり、ちょっとしたことでカッとなったり、つい衝動的な言葉を口に出してしまったり、感情をコントロールできなくなってしまいます。