「記憶や注意力」も前頭前野が支えている
記憶や注意力も前頭前野が支えています。
予定を覚えておく、話を聞きながら要点を整理する、といった能力が衰えると、物事をスムーズに進められず、イライラが募ることも。頭の中で整理整頓していた引き出しが乱雑になって、必要なものをすぐに見つけられなくなるような感覚です。
脳の偏りによる現象はこれにとどまりません。前頭前野は、新しい状況に適応したり、異なる視点を取り入れたりする柔軟な思考もつかさどっています。
新しいスマホの使い方を覚えたり、急な予定変更に落ち着いて対応できたりするのは、前頭前野が機能しているからです。しかし機能が低下すると、考え方が硬直し、いつもと同じやり方にこだわり、変化を受け入れるのが難しくなります。
家族が新しい提案をしてきても「今までのやり方でいい」と頑なに拒否したり、些細な変化にイライラしたり。それが、感情の波をさらに大きくすることもあります。
前頭前野は複数の選択肢から最適なものを選んだり、タスクの優先順位を決めたりする判断力も支えています。
忙しい日に「まずこれをやって、次にあれをしよう」と計画を立てるのは、前頭前野の仕事。
しかし、この機能が低下すると、何から手をつければいいのか迷ったり、重要ではないことに時間をかけすぎたりするようになります。
物事が思うように進まずにストレスがたまり、「なんでこんな簡単なことができない!」と自分や周囲に怒りを向けることもあります。
さらに、自己モニタリングの能力も前頭前野が担っています。自分の発言や行動を客観的に見て、「これで大丈夫かな?」とチェックする力です。
この力が弱まると、場にそぐわない発言をしたり、冗談が度を越してしまったりすることもあります。
周囲から「最近、ちょっとデリカシーがないね」と言われたら、脳の偏りが起きているのかもしれません。