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ライター・しろぼしマーサさんは、企業向けの業界新聞社で記者として38年間勤務しながら家族の看護・介護を務めてきました。その辛い時期、心の支えになったのが大相撲観戦だったと言います。家族を見送った今、70代一人暮らしの日々を綴ります

昭和50年代、女性会社員の名刺は男性より小さくて角が丸かった

高市早苗さんが憲政史上初めての女性首相に決定した時、「女性が首相に!」と驚かなかったのは、今の時代だからだと思う。女性首相誕生の翌日(10月22日)の「読売新聞」に、国連女性機関の6月発表の報告書の記事があり「国連加盟国193か所のうち、女性が現職大統領や首相を務めるのは計27か国に上る」とあった。

私が住む東京都の知事は小池百合子さん、市長も女性、近くの路線バスに乗ったら運転手が女性、バスを降りて歩いていたら建設現場でヘルメットをかぶった女性が男性と大声で話していた…というわけで、仕事の上で男性だ、女性だというのは古い気がする。

しかし、ここに至るまで、社会の中で差別を受け入れながら苦闘してきた女性たちがいたことを忘れてはいけない、と思うことが先日あった。

自宅で書類を整理していたら、私が昭和50年代に会った人たちの名刺のファイルが出て来て、名刺のサイズとカタチに男女の違いがあるので驚いた。当時、20代の私は、そういうものだと気にしていなかったことも思い出した。

男性の名刺は、職業が企業の社員、お店の店長、フリーで仕事をしている人も、91mm×55mm(現在は日本の標準サイズ)で、四方の角は直角。しかし、女性の名刺は大企業でも中小企業でも会社員であれば、男性よりも一回り小さい85mm×49mmで、四方の角が丸くなっているのである。

大学の同級生で、今では名刺が必要ないほど有名になった女性がいるが、昭和50年代に彼女にもらった会社員の時の名刺も、男性より小さくて角が丸かった。

しかし、大学卒業と同時に自分で起業した女性は、男性と同じサイズの名刺を私にくれた。

もちろん例外もあり、子供と女性向けの商品を販売する会社の男性に渡された名刺は、当時の男性の名刺より数ミリ小さいサイズだ。私は昭和53年に半年だけ、社長は男性、編集長が女性という出版社に勤めたが、社員全員が社長と同じサイズだった。

名刺の男女の違いに深い意味があるように思え、あちこちに聞いてみることにした。