夜に墓場を散策した八雲

八雲は八橋からさらに東にある気高町の浜村でも墓地に足を運んでいる。ブラブラと夜風にあたりながら海岸線を歩いていったと思われる。

「(前略)ひとり、村の墓場をぶらつくことにした。砂丘に横たわる長い墓場である。それは砂丘というより、てっぺんに薄く土のかかった大きな砂の山だった。崩れかかっている斜面を見ると、昨日今日にでき上がった砂丘というより、太古からの潮流によってできた砂丘だと思われる」

(小泉八雲『知られぬ日本の面影』)

八雲は寝るにはまだ早いと、夜に墓場を散策し、盆灯籠を眺めたという。暗闇の中に、ぽっ、ぽっと、ぼんやりと光る盆灯籠。ザザーー、ザザーー、という波音の先には、飲み込まれそうな漆黒の日本海が広がる。そこには膝まで砂に埋まりながら墓地を歩く八雲の姿があった。

※本稿は、『八雲とセツを追いかけて-神様と妖怪に出会う旅-松江・境港・出雲』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。

【関連記事】
小泉八雲の名前の由来とは?『ばけばけ』にも登場した松江・八重垣神社「鏡の池」には、今も縁占いを目当てに国内外から多くの人が参拝していて…
なぜ西洋人・八雲が日本に興味を持ち、そこに生きる人々の魂まで理解したいと思ったのか?「セツと暮らすことで恐らく…」『ばけばけ』で注目の松江市・小泉八雲記念館で触れるそのまなざし
旅行を楽しんだ『ばけばけ』モデル小泉八雲。滞在先で「はじめての西洋人」として騒ぎになったことも。気味の悪い宿に泊まった時には、意外にも…

ーーーーーーーーーーーーーーー

『婦人公論』×TSKさんいん中央テレビ/神々と八雲をたどる、冬の山陰・開運の旅3日間開催決定!

≪出発日≫
2026年1月21日(水)、1月27日(火)、2月6日(金)、2月15日(日)、2月27日(金)

≪おひとりあたりの旅行代金≫
羽田空港発 238,000円(税込)
伊丹空港発 218,000円(税込)
※2名1室

≪募集人員≫
各日程 24名(最少催行人数16名)

≪訪れるスポット≫
・神様を迎える海岸 稲佐の浜
・八足門特別参拝 出雲大社
・小泉八雲が愛した寺院 月照寺
・八雲の遺愛品や直筆原稿などを展示 小泉八雲記念館
・当時の調度品と美しい庭園 小泉八雲旧居(ヘルン旧居)
・現存天守12城のひとつ 国宝 松江城
・縁結び占いが有名 八重垣神社
・和菓子作り体験 カラコロ工房
・日本一美しい庭園 足立美術館
・神話の黄泉の入り口 黄泉比良坂
・神在月の終着点 万九千神社

≪宿泊地≫
1日目 いにしえの宿 佳雲
島根県出雲市大社町修理免字本郷1443-1
2日目 ホテル玉泉
島根県松江市玉湯町玉造53-2

≪ツアー参加特典≫
書籍1冊プレゼント:『八雲とセツを追いかけて 神さまと妖怪に出会う旅 松江・出雲・境港』
(中央公論新社刊、2025年9月発売)

企画・実施 TSKさんいん中央テレビ/企画協力 婦人公論 女性の生き方研究所

詳細はこちらhttps://fujinkoron.jp/articles/-/19270