「櫻井先生には話をきいたの? あなたのお姉さんと同じ、この学校の一期生よ」
翌日のお昼休み、ひとりで校庭のベンチで本を読んでいた秀梅をみつけてハルは声をかけた。秋の日差しの下で、肌が白磁のように透き通っているようだった。
「いきなりきくわけにもいかないじゃない。まずは資料をあたって、情報をあつめようと思っていたの」と秀梅は、呆れたような顔をした。
「頭いい子って、そういうところがあるのよね。でも、覚えておいて! ときには、思慮深さよりも行動力のほうが役に立つことがある。まあ、お姉さんに任せときなさいよ。休み時間が終わる前に櫻井先生のところにいくわよ。詳しく知らなくても当時の雰囲気くらい摑めるかもしれないでしょ」
秀梅はしぶしぶといった様子で立ち上がる。
