思い込みに注意

AさんがBさんについて、こんなことをCさんに言いました。

「Bさんったらね、昨日会った時、私と同じバッグを持ってたのよ。その前は、靴がそっくりだったし」

これを聞いたCさんは、次のように解釈したのです。

「Bさんは何でもAさんの真似をしたがるので、AさんはBさんを嫌がっているのだ」

でも、これはとんでもない誤解でした。

実はAさんはBさんと大の仲よしであり、自分とBさんの好みがよく似ていることを喜んでいたのです。

ところが、Cさんは、人と持ち物や服装がかぶることを極端に嫌う人でした。

そのため、「同じバッグ」「よく似た靴」にネガティブな反応を示し、「Aさんもきっと嫌に違いない。だから、私に愚痴をこぼしたのだ」と受け取ったのですね。

思い込みに基づくトップダウン型情報処理は、時として注意が必要です。

※本稿は、『なぜ、あなたの話し方は誤解されるのか~意図を正しく伝えるためのメタ認知』(大和書房)の一部を再編集したものです。

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