いま「誉れ」とすべきは

印象派を代表する画家のクロード・モネは、ジヴェルニーの自宅に、日本庭園を意識した庭を作りました。作曲家のドビュッシーは、ジャポニスムを音楽の世界に取り入れたと言われており、「亜麻色の髪の乙女」や「金色の魚」は日本美術から着想を得たそうです。

日本はこのように、海外の超一流の芸術家から憧れられた「美」の国だったのです。奈良・平安の古(いにしえ)から室町、安土桃山、元禄時代、そして大正や昭和初期のロマンあふれる文化。そうした美の系譜こそ、日本が誇るべきものです。しかしその日本の美意識を、軍国主義者たちが戦争でつぶしてしまいました。文化は軟弱だ、美しいものは敵だと、片っ端から壊したのです。

戦後、日本は経済的に成長はしましたが、連綿と続いてきた美意識を取り戻すことはできていません。そしていまや、経済も陰ってきました。日本がもっとも「誉れ」とすべきなのは、日本の美意識です。みなさんもそのことを肝に銘じ、美の再発見をしてみませんか。

 

●今月の書「誉れ」

(書:美輪明宏)

 

【関連記事】
美輪明宏 三島由紀夫さんに言われた「華宵描くところの美少年だね」は最高の誉め言葉。夢二や華宵が描いた叙情性やロマンチシズムを忘れずに
美輪明宏 「〈何かしてあげる〉といった恩着せがましい態度は、自己満足の表れ。他人の領域に無遠慮に踏み込まない〈奥ゆかしさ〉を身につけたい」
美輪明宏 「馬車馬のように働いていても、今よりすべてがのんびりしていた昭和の時代。情報過多の現代は《情報断食期間》で心の潤いを」

あなたの人生を導く-美輪ことば」(著: 美輪明宏/ 中央公論新社)

「微笑みは開運の鍵」

「ルンルンルン」

「自分にも感謝を与えてください」

「地獄、極楽は胸三寸にあり」

美輪明宏さんが89年の人生をかけて大切にしてきた言葉が満載!

~~~自筆の「書」とともに綴る愛のエッセイ!~~