「体が脆弱だから、食に対してはぜいたくなのかもしれません。《食べることは大事》という意識が常にあって、優先順位が高いんです」(秋吉さん)

朝のお味噌汁が体を温める

秋吉 先生は特に気と血に着目した食養生のアドバイスやレシピ提案をなさっていますね。何かきっかけがあったのですか。

瀬戸 私の勤めている鍼灸院に来院される患者さんには、胃腸が弱い、だるくて元気が出ない、体力がない……という症状を抱えた方がとても多かったんです。

その大半が、血虚(けっきょ)<血が足りない>か気虚(ききょ)<気力がない>、あるいはその両方の状態でした。食生活を変えれば改善することも多いと気づき、鍼灸院内で漢方相談もしながら、食事のアドバイスをはじめたのです。

秋吉 食事なら、自分の意思で改善できますものね。私のやたら眠くなる《持病》は、何をどう食べればよいのでしょう。

瀬戸 生ものや冷たいものは、胃腸を冷やしてしまうので控えめに。胃腸に負担をかけると、気血も消耗します。

秋吉 わあ、私は朝はまず果物を食べるようにしているんですが、それがいけなかった! 午前中ぼんやりしちゃうのもそのせいですか?

瀬戸 果物は体にいい食べ物ではあるんですよ。でも、東洋医学的には、朝の7時から9時は、胃を修復し活性化させる時間帯。なので、この時間には温かいものや発酵食品を摂って胃を元気にするといいのです。おすすめは朝の一杯のお味噌汁。

秋吉 うーん、でも、朝からお味噌汁を飲むのはちょっとつらいです。重たいっていうか……。

瀬戸 では、具なしのスープだけにすれば飲みやすいのでは?

秋吉 なるほど! 具なしの温かい味噌スープなら、毎朝飲めそう。それから、先ほど、私は湿気に弱いタイプだと教えていただきましたが、冷えにも弱いみたいです。お腹を触るとヒヤッと冷たいことも多いし、冬場なんてお布団をかけても寒くて寒くて、夜中にお風呂に入り直して温まることもあります。

瀬戸 それも気血の不足からでしょうね。体の中身が冷えているのなら、外側から保温するだけでは不十分です。冷たいものを魔法瓶に入れても、中身は冷たいままですよね。人体も同じです。発熱するものを体の中にいれ、内側から温めなければ。