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私自身、もともとは本格的な登山に熱中していたのですが、仕事が忙しくなって山から遠ざかり、再び登り始めたのは50代になる直前。同好会のようなものに参加したのがきっかけで、初心者も高齢者も、より多くの人が山歩きを楽しめるよう、フラット登山を考えついたのです。

なだらかな山や平坦な道を自分のペースで歩くので、『婦人公論』世代に最適なアクティビティだと思います。膝や腰への負担も少なく、無理せず足腰を鍛えられ、体力の向上にもつながる。自然に浸ることは心の健康にもいいでしょう。

フラット登山の最大の魅力は、日常では見られない、思いがけない風景に出合うこと。こんなところから富士山が見える! 広大な草原の先に地平線が見える! 発見と驚きの連続です。

特に秋はベストシーズン。低山なら気温もそれほど下がらないため涼しく、土も乾いて歩きやすいのです。夏の低山はクズやツユクサが生い茂ってジャングルのようになったりしますが、秋は草が枯れて見晴らしがよくなり、空気が澄んで、風も清々しい。

ウォーキングや散歩好きな人であれば、歩く気持ちよさはわかると思いますが、普通の道路よりも、土が軟らかい山道を歩くほうが、もっと気持ちいいんですよ。とりわけ晩秋から冬にかけて、落ち葉が積もった地面を踏みしめる感触は格別。カサカサという音とともに、歩く喜びを味わってほしいですね。