琵琶湖のほとりを愛犬テオと散歩するのが日課(写真提供:村井さん)

入院中はネット検索も見舞いもシャットアウト

心臓弁膜症は心臓の弁がうまく開閉しなくなり、進行すれば心不全などを引き起こす病気です。治療は体に溜まっていた水分を利尿剤で抜くことから始まりました。

ひっきりなしにトイレに通うのは大変でしたが、体はどんどん楽になり、体重も一晩で5キロ減。顔色も良くなって、数日後にトイレで鏡を見た時、「そういえば私、こういう顔だった」と驚いたのを覚えています。

ファンデーションの色が合わないのも、まぶたが厚くなったのも年齢のせいと思っていたけれど、すべては心臓、お前のせいだったのかと。

体調が戻ってきた私はやり残しの仕事に手をつけたくて、家からノートパソコンを持って来てもらい、レンタルWi-Fiを契約してネット環境を整えました。

自分の病気についても調べたかったのですが、病院の先生たちは口をそろえて「ネット検索だけはしないように」と言います。ネットで不確かな情報に触れ、主治医の提案する治療法が信じられなくなったり、ほかの人の病状を知って不安になるなどの弊害があるのでしょう。

私は家族や知人の見舞いも、ほぼシャットアウトしました。なぜならこっちは、点滴や検査機器のケーブルがたくさんつながり、シャンデリアみたいな見た目なわけです。その姿に相手がショックを受けた顔をすることで、「自分は重病なんだ」という事実を突きつけられるのが嫌でした。