「藤城清治101 アビーと共に生きる」(c) Seiji Fujishiro Museum2025
カミソリを使って緻密に切り抜かれた木々や風景、そして音楽を奏でる動物やこびとたち。そんな作品を手がけるのは影絵界のパイオニア、藤城清治さん。101歳の今も新作に取り組む日々。その創作意欲はどこから生まれるのでしょうか(構成:篠藤ゆり 撮影:小林ばく)

絵を描き出すと時間も年齢も忘れる

70代、80代までは若いつもりでいたけれど、やっぱり100歳を超えると、そうもいかないですね(笑)。でも101歳になって、疲れたなぁ~とは思うものの、絵を描き出すと年齢を忘れちゃう。

腰や背中が痛くなったら絵を描く手を止めてじっとするんだけど、描き出すとまた元気が戻ってくる。自然に手も動くし、頭も働く気がするので、やっぱり「描いてないとダメだなぁ」と思いますね。

描いていると度胸が据わるし、時間も忘れて、夢中になっちゃうんだね。この間も、気がついたら徹夜。朝になっていました。

90歳の時、脊柱管狭窄症の手術を受けてね。ず~っと座って仕事をしているのもよくないと思い、近所を多少、歩いているんです。

両手に1本ずつ杖を持って、やっとこさ歩いてると、近所の人たちが「大丈夫ですか?」「気をつけてくださいね」と声をかけてくれます。昨日はちょっと歩きすぎて疲れちゃったから、今朝は寝坊をしたけど、普段は8時前には起きていることが多いです。