「冬麗 竈猫」(c) Seiji Fujishiro Museum2017

母屋のほうにいる猫とは、夜、一緒に寝たりなんかして。僕は100歳を超えて元気にやっているけど、同年代の友人や仕事仲間はもういなくなっちゃってる。今や猫が同僚みたいな感じかな。

僕、靴下が好きで、ちょっと色に凝っているの。今日は上着がオレンジ色だから靴下はブルーにしてみようかな、とか考えるのが楽しくてね。近所を散歩していると、「先生、おしゃれですね」なんて言われるし、いろいろな人が靴下をプレゼントしてくれる。

それをかわいいバケツに入れておいたら、猫がポンポンと外に放り出しちゃうんだよね。そして自分がバケツの中にひょいと納まって、気持ちよさそうにしている。ちゃんと洗濯されていても、僕の匂いがついてるのかなぁ。こんな日常も、絵に描きたくなるんだよね。題材はどこにでもあるから。

7月には栃木県那須町にある藤城清治美術館をスケッチしに、現地まで足を運びました。正面入り口の風景を影絵にしようと思ったんだけど、写真を見て描くのはイヤだから。やっぱり、自分の目で見て描きたいんです。

後編につづく

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