こんな人も「自己愛不全」を抱えている
・人と比較してしまう人
ついつい他人と比較して、自分が嫌になってしまう人。あるいは嫉妬してしまう人。こんな人も「自己愛不全」を抱えていると言えます。
本来、自分が比較すべきは過去の自分です。過去の自分より先に進めていれば、それで何も言うことはない。それなのに、ついつい他人と比較してしまう。
これはまさに、自分をありのままに受け止められていない「自己愛不全」の一つです。自分は自分のままで良いという感覚がないので、誰かと比較してやはりダメだと落ち込んでしまう。常に自分より優れた存在はいるので、そんなことを考えていても仕方がないのですが、「自己愛不全」の人にとってはそうならないのです。
・他人と安定した関係を築けない人
「自己愛不全」の人は、他人と安定した関係を築くのが苦手です。
確固たる人間関係というのは、確固たる個人と個人の間に培われるものです。自分のありのままを受け入れられていない人は、自分自身が不安定なので、当然他人との関係も安定しません。「愛」とまでいかない関係であっても、上手くいかなくなりやすいのです。
・自分のやりたいことがわからない人
「自分のやりたいことがよくわからない」という悩みはよく聞かれます。
実は、この悩みの背景にも自己愛不全が潜んでいます。
「他人を優先してしまう人」のところでも述べましたが、自己愛不全の人は、自分の気持ちに気づきにくくなっています。「自分のやりたいこと」というのは、最も強い「自分の気持ち」です。自分をありのままに受け入れて、初めて自分の中から迸るように出てくるのです。
これは「自分のやりたいことに邁進している人」を想像してもらえればわかるのではないでしょうか? 彼らは、しっかりと自分を受け入れ、いわゆる「自己肯定感」が高い人間に見えるはずです。そして、彼らにとって自分を受け入れるのは、当たり前のことなので、おそらく「自己肯定感」が高いなどという自覚はないかもしれません。
いくつか、よくある「悩み」について挙げてきましたが、どれにも「自己愛不全」が潜んでいるということが、おわかりいただけたのではないでしょうか?
他にも自己愛不全によると思われる悩みは、おそらくあちこちに潜んでいるのではないかと思います。「自己愛不全」というナルキッソスの呪いは、人生にとって、普遍的な問題なのです。