同じタイプの事件が続く理由
炎上事件が続いていた2013年頃、ある専門学校での講演内で、有名な炎上事件を取り上げたことがあります。「ローソンアイスケース事件(*1)」として知られる、ローソンのアイスケースの中にスタッフが寝転んだ写真がFacebookに投稿された事件です。炎上事件の先駆けとなった事件でもあり、「不衛生」と大炎上したので、覚えている方は多いでしょう。
当時、日々ありとあらゆるメディアを騒がせている有名な事件だったので、当然知っているものと思い込んでいました。写真を示したあと、「みんな知っているよね」と聞いたのですが、なんと「知らない」と首を振った生徒が何人もいたのには驚きました。ニュースを見ないため、どれほど話題になっていても、彼らには届いていなかったのです。
若者はニュースを見ないので、このように、大人世代はニュース経由で食傷気味なほど見ている情報でも、全く知らないことがあります。
炎上事件や闇バイト事件など、全く同じタイプの事件が続くことを不思議に思ったことはありませんか。少しでもニュースを聞きかじっていれば、「回転寿司に唾液を付けるなどの迷惑行為をして撮影、SNSに投稿すると炎上してしまう。炎上したら実名をさらされ、学校に通えなくなってしまう。デジタルタトゥーになるから、絶対にやめよう」ということは分かるはずです。
ところが同じタイプの事件が続く理由は、ニュースを見ていないからだったのです。炎上事件が続いていること、どのようなことをすればどんな目に遭うかを知らないからこそ、新しく事件を起こしてしまっていたのです。
もしニュースを見聞きしていれば、自分がやろうとしていることがどれほどまずいことなのか気付けたでしょう。しかし全く見ていないため、気付くことができませんでした。このことからも、ニュースを見る大切さは分かっていただけるかと思います。
大学の講義内で聞いた時も、学生から「ニュースはSNSで流れてくるもので十分。あえてニュースサイトを見る理由が分からない」と言われたことがあるほどです。SNSでピックアップされるニュースには偏りが大きく、若者が巻き込まれる事件やトラブルなどリテラシーの教材になりそうなものはまず流れてこないのですが、そのような認識なのです。
ただ、事件やトラブルはある程度流行のようなものがあり、似たものが続く傾向にあります。頻発している事件やトラブルに関しては警戒し、対策をするに越したことはないのです。若者はニュースを見ないものと考え、保護者が代わりにニュースを視聴して、気になるものに関しては口頭でシェアをするというのが、一番効率が良いのではないでしょうか。
面と向かって言われたことは意識に留まりやすく、少なくとも聞いたことによって「もしかしてこれもこの間聞いたあのニュースと同じかも。気をつけた方がいいのでは」と思いやすくなる効果があります。
