ペナルティを破った場合

では、ペナルティを破った場合、どうしているのでしょうか。「ペナルティを行った」が62%であり、「そもそも約束を守っているのでペナルティを行う機会がない」が32%と、きちんと実施している割合が高いようです。「設定したものの、ペナルティを行わなかった」は6%に過ぎませんでした。

気になるペナルティの具体的な内容ですが、「使用禁止」「携帯没収」と「使わせない系」の二つがほとんどでした。それ以外には、少数ですが、「使用時間の短縮」「小遣い減額・なし」「制限(約束)を厳しくする」「家事の手伝い」などが挙げられました。

ペナルティの決め方は、約束・ルールの決め方と同じです。親子で話し合って、納得の上で決めるべきです。

調査では「使用禁止」「携帯没収」と「使わせない系」がほとんどでしたが、既にかなり依存症が進んでしまっている場合、子どもによってはキレて、暴力行為等につながってしまうことがあります。そのような場合は、問答無用で取り上げるのではなく、子どもの意見も聞いてあげるようにしましょう。そして、ルールを守れなかった時はその後の対処が大切です。

「なぜルールを守れなかったんだろう。どうすれば守れるかな」

と子どもに問いかけてみてください。

「塾で夜遅くなるのに、帰りの時間には既に制限時間になっている」「課金なしの約束だったけれど、使い始めたら課金したくなった」など、そもそもルール自体に欠陥があったり、利用状況が変わってルールを見直すべきだったりすることもあります。

どうしても、もっと使いたくなってしまうのであれば、制限機能で使えなくしたり、端末を預かって目に触れないようにするなど、使えない仕組み、使いたくならない仕組みを導入するのもいいでしょう。

理由を明らかにして、ルールを守りやすくする仕組みを作ることで、守れるようになるのではないでしょうか。

受験生の場合は、ルールを守ることが受験成功につながるという基本を押さえ、改めてルールを守る大切さを考え直すことで、意識が変わってくるかもしれません。

*1  日本経済新聞。“ローソン店員、アイス冷凍庫に横たわる 写真公開で店は休業に”。2013-07-16.
https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1501K_V10C13A7CC1000/(参照2025-03-25)

*2  NIFTY Corporation. “発表! 小中学生のスマホ事情”。ニフティキッズ。 2018-02-26.
https://kids.nifty.com/research/2018sumaho/(参照2025-03-25)

*3  ガンホー・オンライン・エンターテイメント。“子どもが約束(ルール)を守らなかった時にペナルティはあった方がいいの?”。2023-01-06.

※本稿は、『スマホで受験に失敗する子どもたち』(講談社)の一部を再編集したものです。

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