イラスト:おおの麻里
肩こりや五十肩、腰痛、ひざ痛など、年齢を重ねるにつれ体のあちこちが痛むということはありませんか? 病院や整体院で治療を受けてもなかなか治らない場合は、「異常な血管」が関係しているかもしれません(構成=渡部真里代 取材・文=佐藤ゆかり イラスト=おおの麻里)

理由のわからない痛みが3ヵ月以上続く

ケガもしていないのに感じる体の痛み。年齢のせいとあきらめてしまう人もいるのではないでしょうか。「理由のわからない痛みが3ヵ月以上続く場合、その9割はモヤモヤ血管が原因です」と話すのは、慢性痛の治療を行うオクノクリニック総院長の奥野祐次先生です。

「モヤモヤ血管とは、もともとある正常な血管から派生してできる異常な血管のことです。医学的には病的血管と呼ばれ、その形状がモヤモヤした煙のように見えることから、私がモヤモヤ血管という別名をつけました」(奥野先生。以下同)

モヤモヤ血管は、体の内側の組織の炎症が原因で発生します。捻挫や打撲などが原因で起こるのはもちろん、腕を伸ばした際に肩をひねってしまったり、体の一部を家具にぶつけたりといった日常のアクシデントが引き金になることも多いのだとか。

「外部からの刺激だけでなく、同じ姿勢や動作を続けることでも炎症は起こります。炎症が起こった部位では、血管を生み出す『血管内皮増殖因子』という物質が過剰に分泌され、血管が拡張して血流が増加するので、腫れや熱を引き起こすのです」

一方で、体内では新たな血管の発生を抑える「血管新生抑制因子」という物質も分泌。必要以上に血管ができないようコントロールしているそうです。

「ところが、40歳頃から『血管新生抑制因子』をつくる細胞が減少します。さらに女性の場合、異常な血管を抑制する作用のある女性ホルモン、エストロゲンも同時期に減少するため、モヤモヤ血管ができやすくなってしまうのです」