徹底的にデータ化
日本酒は米を麹の力で糖化して、できたブドウ糖に酵母が取り付いて発酵する。糖化と発酵が同時に起こる並行複発酵です。非常にコントロールが難しい発酵形態で、機械化による品質の低下をどうカバーできるかが大きな問題になります。一方で、優秀な杜氏がいる地方の酒蔵は、生産量が増えないために商品力が上がりません。どんなに素晴らしい酒でも幻の酒になってしまうと、先細りになるのみです。
そんな中で、私の稚拙な経営に愛想をつかして杜氏が逃げてしまって考えました。
杜氏の経験とはデータの蓄積です。勘とは蓄積したデータと現場の現象から何をすべきかを選ぶことです。だったら杜氏の頭の中のデータを見える化すればいいじゃないか、ということで始めたのが、酒造りを徹底的にデータ化して、それを見ながら社員が酒を造る形でした。機械ではなく人間が造っているため、微妙なところまでコントロールできます。
さらに、空調で冬場の温度に合わせた環境を作り、1年中に酒を造っているから緊張が途切れません。年1回だけ造る寒造りだと、何かトラブルがあっても翌年の仕込みまで改善できませんが、我々は翌週の仕込みタンクで実行できるわけです。
偉そうに書いていますが、圧倒的な負け組がどうしようもなくなってとった策です。ピンチが救ってくれたのです。