いいお酒を適量

私が若い頃、昭和30年代(1960年前後)を思い出してみると、大工さんの日当が1日500円。一番安いお酒の一升瓶は同じ値段でした。高かったからたくさん飲めなかった。

獺祭会長の桜井博志氏

しかし、私が酒蔵を継いだ1984(昭和59)年になると、経済成長もあって大工さんの日当で、10本から20本くらいの酒が買える時代になりました。そうすると、いくらでも飲める。小遣いの範囲内でアル中になれるわけです。

それを見ながら、たくさん飲んでもらうのではなく、いいお酒を適量楽しんでもらう方向に変えようと考えてきました。

それまでのビジネスのやり方では絶対に勝てないわけです。

変わる中で考えたのは、できる限り売上げを上げて、できる限りの利益を取るのではなく、誤解を招くかもしれませんが、できるだけ原価をかけようと決めたのです。良い山田錦を使って手間をかけて造ることで、結果として売上げも上がってきました。