先送りが生む大きなリスク

糖尿病患者は日本で1000万人以上いますが、専門医は5000人程度しかおらず、1人の医師が非常に多くの患者を診ざるを得ないという事情もあります。そのため「とりあえず様子を見ましょう」となりやすいのです。

先送りは大きなリスクを生みます。血糖値が少し高くなった段階でしっかり対策をとれば、半年から1年でヘモグロビンA1cを7%未満に下げ、その状態を5年維持できれば、その後の経過は大きく変わるといわれています。

『世界中の研究結果を調べてわかった!糖尿病改善の最新ルール』(著:坂本昌也/あさ出版)

しかし現実には、患者の通院が続かなかったり、生活習慣の改善が不十分なまま時間が過ぎてしまい、気づけばβ細胞の機能が失われ、取り返しがつかなくなる。治療の遅れは、それ自体が合併症のリスクを高めることにもなるのです。

糖尿病の怖さは、病気の進行そのものよりも、「気づかれないまま放置される時間」が長いことにあります。だからこそ患者は、「症状がなくても進んでいる」という事実を理解し、境界型の段階から本気で取り組む必要があります。