ものすごく悪い糖尿病とそうでもない糖尿病の違い
年齢によって異なる治療のゴール
糖尿病という病気を統計で見てみると、高齢者に多いという数字が必ず目に入ります。厚生労働省の調査でも、70代以上では3人に1人が糖尿病またはその予備軍とされています。
こう聞くと「糖尿病は高齢者の病気」という印象を抱きやすいのですが、実はそれらの情報やデータはしっかり読み解く必要があります。
糖尿病の患者数が高齢者に偏って見えるのは、高齢になってから新しく糖尿病になる人がとても多いからではありません。実際には、もっと若い時期に糖尿病を発症した人が、その後もずっと糖尿病を抱えたまま年を重ね、高齢に達しているのです。
一方で40代や50代で発症した人は、心筋梗塞や脳梗塞、腎不全といった重い合併症を起こし、命を落とすリスクが高いため、高齢まで生き延びられないケースが少なくありません。
つまり「高齢者に多い」という統計の裏には、若い時期に発症した人は長く生きられない厳しい現実が隠れているのです。
こうした視点から考えると、糖尿病は発症した年齢によって意味合いがまったく変わってきます。
わたしは、30~50代で発症する糖尿病を「ものすごく悪い糖尿病」と呼んでいます。
この世代は、まだまだ人生が長く、糖尿病による血管へのダメージが長期間にわたって積み重なり、心臓や腎臓、脳といった大切な臓器にも深刻なダメージを与えます。その結果、心筋梗塞や脳梗塞といった重大な合併症に襲われ、働き盛りの年代にもかかわらず命を縮めてしまうことも珍しくありません。
ご本人の健康が脅かされるだけでなく、家庭や社会に与える影響も大きくなるのがこの年代の糖尿病です。さらにいえば、高血圧・脂質異常症の合併や家族の発症歴がある方の場合、もっとも注意が必要です。
一方で、70代、80代になってから発症する糖尿病は、「そうでもない糖尿病」と呼んでいます。年齢を重ねてからの発症は、ガンの合併がなければ糖尿病の進行による合併症があらわれるよりも先に寿命が訪れることが多く、重大な合併症を抱えるリスクが小さいからです。