高齢者の糖尿病治療が目指すこと
さらに高齢者にとっては、血糖値を下げすぎること自体がかえって危険につながることもあります。
血糖値が低くなりすぎると、ふらつきや転倒、骨折、意識障害といったトラブルが起こり、むしろ生活の安全が脅かされるからです。
そのため高齢者の糖尿病治療は、若い世代のように「血糖値をできるだけ正常に近づける」ことを目指すのではなく、「安全に生活できる範囲で保つ」ことを優先します。血糖値管理をあえて厳格にしすぎず、高血圧や脂質異常症などほかの病気の治療を主に行うことが多いのです。
つまり治療のゴール自体が、若い世代と高齢者とではまったく異なるのです。
ただし、「そうでもない糖尿病」だからといって、放置していいわけではありません。高齢者でも血糖コントロールが極端に悪ければ、感染症や脱水、認知機能の低下などのリスクが高まり、生活の質が大きく損なわれます。
高齢であってもムリのない範囲で血糖を安定させる工夫は欠かせません。
あくまで「厳しすぎる管理は不要」というだけであって、適切な見守りと調整が必要です。
糖尿病は、若い世代で発症すればするほど合併症のリスクが高くなります。血糖値が少し高い状態を放置すれば、その後の人生の長い年月を合併症の影に怯えながら過ごさなければならなくなります。
逆に高齢になってからの糖尿病は、それほど恐れることはありません。できる限り長く安定した日常を送れるように、血糖値に少しだけ気を配るようにしましょう。
※本稿は、『世界中の研究結果を調べてわかった!糖尿病改善の最新ルール』(あさ出版)の一部を再編集したものです。
『世界中の研究結果を調べてわかった!糖尿病改善の最新ルール』(著:坂本昌也/あさ出版)
本書では、世界中の研究データからわかった最新の医学知識をもとに、糖尿病予備群・軽症患者の方でもムリなく続けられる「正しい改善ルールと生活習慣」をご紹介。
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